ホスピタリティ再考①

ここ数年のインバウンド需要、外国人観光客の増加に伴い、
日本におけるホテルの在り方が、かなりの変貌を遂げており、
昔ながらのホテルマンの感覚では、ついていけない世の中になってきました。
このコラムでは、自分たちの習ってきたホスピタリティ、
今後、提供していくべきホスピタリティ、
守っていくもの、捨てていくものの、変わらないもの、進化していくもの
答えはないかもしれませんが、これからホスピタリティ事業を目指していく
若者達や、すでにリタイヤした人達、現役バリバリのホテルマンの皆さんへ
問題提起をしていきたいと思います。

ちょっと古い話題になりますが、先日の某仙台のホテルにおける、ネットの書き込みが問題になった件について、考えていきたいと思います。

この件はあくまでも新婦の友人がSNSに書き込んだ内容が炎上しているので、すべてにおいて信ぴょう性があるわけではないです。ホテル、ブライダルに携わっていた人ならわかると思いますが、少しの失敗や機嫌を損ねることによって、すべてが憎くなり、荒探しをされることは、ホスピタリティ事業に長く携わっている人にとっては当然でしょう。
昔はそれが、直接的なクレームで、両親や本人にホテル側が責められたものですが、今はネットで拡散され、あちらこちらから叩かれ、また、それを見て、テレビ局などから取材に来る世の中になりました。それでは、あくまでも新婦側の言い分についてネットで出ている内容だけを客観的に見ていきましょう。

6月30日に投稿されたゼクシィのサイトの口コミには「あまりにも酷すぎて精神的苦痛で立ち直れていない」として、以下のようなことが書かれている。

・(事情により)何があっても旧姓で呼ばない約束をしていたが、破られた
・見積もりなどで毎回、名前(下の名前)の漢字を間違えられた

・1日1組と言われていたが、実際は別のカップルの披露宴が行われていた
・会場を自分たちで装飾できると聞いていたが、式の2週間前になりできないと言われた
・当日着付けを30分早められた
・旦那はタキシードで移動中に他の花嫁と鉢合わせ
・電報を読まない約束だったのに読まれた
・2歳の子供にノンアルコールドリンクを勧められた
・ウエディングケーキが子供4人に提供されなかった(されるはずだった)
・巻き寿司が、ケーキとコーヒーの後に出された
・ドリンクフルコースだったのに、ドリンクの種類が少なかった
・ゲストの引き出物の中に原価まで細かく書かれた発注表が同封されていた
・ゲストの中で、駐車料金が発生する人と発生しない人がいた
そして「一生に一度の結婚式を台無しにされた」とされている。
その口コミに対して、ホテルは「婚礼グループマネージャー」の名前で
このたびの弊社のご結婚式におきまして、お二人ならびにご参列の皆様に大変ご不快な思いをさせる結果となってしまい、誠に申し訳ございません。
頂きましたご意見を真摯に受け止め、ホテル全館で改善・サービス向上に誠心誠意努めてまいります。
などとテンプレ的な返信をしている。
この友人はその後、他の点も指摘している。「花に関しても10万の予算で花がない 花屋が逃げている謝罪なし」として投稿している。
実際のメインテーブルの画像には花がありませんでした。

この友人は他にもホテル側の対応について怒り、苦言を呈している。
・プランナーと会う約束をしてホテルに行ったが、そのプランナーは自分の友人の結婚式のため休暇
・駐車料金を払った人に(ホテル側が)直接謝罪して返金する約束だったが、「謝罪文を書くので新郎新婦で(返金に)行って下さい」と対応された
・費用は300万円以上かかった
・出席者数は47人
・引き出物の中に発注表が同封された件は、状況からして明らかにわざとやられた
・ビールは大人4~6人の席に1本のみ
・招待状のデザインが別のものになった
・(このような酷い結婚式になってしまった原因として)両親が出席しない結婚式だから、こんな扱いをされたのではないか
・新郎は弁護士を立ててホテルと話し合いをする
・本部にも連絡済み、一刻も早い解決を望む。

と書かれておりました。

以上はあくまでも、新婦と友人側の意見ですので、ホテル側の意見は聞いていません。

ただ、みんなのウェディングでは、このホテルの口コミは結構、ひどい内容のものでした。
一つ一つの内容について、考えてみましょう。

まず、ホテル側のサービス不手際により、ありえる話が。。。

・2歳の子供にノンアルコールドリンクを勧められた
・ウエディングケーキが子供4人に提供されなかった(されるはずだった)
・巻き寿司が、ケーキとコーヒーの後に出された
・ゲストの中で、駐車料金が発生する人と発生しない人がいた

以上の内容は、サービスマンの教育や、現場のプロ意識が欠けている昨今ではありえる話かとも思います。わたしたちが現場でばりばりやっている最中もこういう間違いはありましたし、この件を新郎新婦の親戚経由で、あとから伝えられ謝ったことも何回かあります。
本来、こういう部分がホスピタリティ事業の根幹だとは思うのですが、ここではあまり触れないでおきます。続いて、

・ドリンクフルコースだったのに、ドリンクの種類が少なかった
・ビールは大人4~6人の席に1本のみ

この件に関しては、単純にサービスマンが少なかったのか、もしくは、現場が原価を安くするために勝手にやったのかと推測されますが、サービスの不手際や、発注書のミスなどで、ドリンクアイテムが少なくなることはあるのかもしれません。まあ、ミスなのですが。

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問題は他の部分ですね。

・1日1組と言われていたが、実際は別のカップルの披露宴が行われていた
・会場を自分たちで装飾できると聞いていたが、式の2週間前になりできないと言われた
・当日着付けを30分早められた

これは、さすがにありえない話だと思うのですが、新婦側の言い分だけ聞くと、ちょっとまずい対応だと思います。

1日1組が売りなら、もう1組入れてはいけないと思いますし、それがどうしても入れないといけない状況なら、事前に了承を得ておくものですが、どうなのでしょう。
当日、着付けを30分早めることも普通はないと思います。

あとは以下の部分に関しては、推測されることは、新郎新婦とプランナーとの関係が打ち合わせの最中でとても悪かったのではと推測されます。
・電報を読まない約束だったのに読まれた
・ゲストの引き出物の中に原価まで細かく書かれた発注表が同封されていた
 状況からして明らかにわざとやられた
・プランナーと会う約束をしてホテルに行ったが、そのプランナーは自分の友人の結婚式のため休暇
・駐車料金を払った人に(ホテル側が)直接謝罪して返金する約束だったが、「謝罪文を書くので新郎新婦で(返金に)行って下さい」と対応された
・招待状のデザインが別のものになった
・(このような酷い結婚式になってしまった原因として)両親が出席しない結婚式だから、こんな扱いをされたのではないか

これは、プランナーが未熟だったのか、ベテランだったが新婦と合わないプランナーだったのか。
ブライダルをマネジメントしていると、たまに担当にしたプランナーが新婦や両親と感性があわなくて、変更することもあることは周知の事実だと思います。
打ち合わせの段階からトラブル続きだから、実際の現場もトラブル続きになる、なんてことは本来、ないかと思います。そういう状況ですと、マネージャーや支配人が、察知するか、訴えにより、担当を変更して婚礼を成功させようと努力するはずです。
これは、もう、プランナーに任せっきりだったのか。

メインの花が無かったというのも、大ごとですが一番やってはいけないことは、
口コミに対して、ホテルは「婚礼グループマネージャー」の名前で
このたびの弊社のご結婚式におきまして、お二人ならびにご参列の皆様に大変ご不快な思いをさせる結果となってしまい、誠に申し訳ございません。
頂きましたご意見を真摯に受け止め、ホテル全館で改善・サービス向上に誠心誠意努めてまいります。

などとテンプレ的な返信をしている。

この部分かと思います。
時代はインターネットの時代から発展して、SNSの時代になり、すでにSNSは成熟して次の時代に向かおうとしています。
20年前には考えられかった話ですが、もうそういう時代です。
クレームがSNSで挙げられ、クレーム処理もネットで挙げられます。
そこに、血の通った心からの謝罪がないと、さらに炎上することになります。
ホテル、ブライダル経験者だったら、申し込みから打ち合わせ、婚礼の日まで、この新郎新婦と、プランナーには色々あったのだろうと推測されますが、ホテル側の最低限の義務として、この新郎新婦を満足させることを怠っていたのではないかと思います。
すべては、人だと考えさせられます。
実際はどうなのかはわかりませんが、人の心を教育していかないと、今後もこのような事例は増えていくのだろうと考え、人間力、人の心を読む力、人の痛みがわかる人材、を求めるのではなく、教育して作り上げることが、これからのホスピタリティ事業に必要なことだと思います。

最後に47名300万円以上だと客単価7万円のご婚礼だと思いますが、あのホテルで客単価7万円は、あの地域では当たり前なのでしょうか。新郎新婦、友人の意見をそのまま聞き入れるとすべてがおかしい話ですが、情報がネット上にしかありませんので、そういう判断しかできません。この件は、今後の日本におけるホスピタリティ事業において、かなり重要な案件だと感じます。SNS上、ネット上の主観的な意見によって、事業者が炎上することは、なるべくなら避けて、人と人で対話して、クレーム対応をすることが、ホスピタリティ事業者の務めだと感じます。

                                        M

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