法務省の発表によれば、平成30年末の在留外国人数は273万1093人と過去最高の数字を記録したという。来年に開催が予定されている東京五輪の影響もあり、さらに在留外国人数は増えることが予想されている。
近年問題となっているのが「在留外国人の入居お断り」だ。法務省が2017年行った委託調査の結果によれば、過去5年間に家を探した外国人の39%が言語の違いや保証人不在などを理由に入居を断られているという。
そんな問題を解決すべく、外国人向けの賃貸物件契約手続きを多言語かつオンラインで完結できるプラットフォーム「AtHearth(アットハース)」を手がけるのがアットハースだ。同社は9月30日、ジェネシア・ベンチャーズ、エンジェル投資家の芝山貴史から総額4100万円の資金調達を実施したことを明らかにした。また今回の発表に併せてサービスも正式にリリース。今後、人材採用、管理物件獲得を強化し、事業を推進していくという。
アットハースの創業は2015年。代表の紀野知成は在学中、米国に留学。また新卒で入社した三菱商事ではエネルギー商材の投資案件でフランス駐在を経験した人物。「留学と駐在の経験を通じて世界各国の住宅事情について学べた」と紀野は語る。
内覧・決済・契約が最短3日程度で完了
AtHearthは前述の通り、外国人向けの賃貸物件契約手続きを多言語かつオンラインで完結できるプラットフォームだ。首都圏の賃貸物件空室率は約34%と年々増加傾向にあるものの、在留外国人のスムーズな受け入れ体制は十分に整備されていない。
紀野はそこに目をつけ、物件管理のオーナーが抱える課題「仲介、管理、企画、施工」などをサポート。そして入居希望者が抱える課題「問い合わせ、内覧、申込、支払い、入退去」などをサポート。
「両者を総合的にサポートすることがアットハースの強み」 との事。
在留外国人はニーズに合った物件の検索・契約手続きを母国語で進めることができる。「またアットハースの代理保証・保険のみならず、水道光熱費・WiFi契約、銀行口座開設など、生活に関わる全てのサポートが受けられるので、安心して日本での生活を開始できる」
不動産オーナーの利点
物件を提供する不動産オーナー・管理会社は多言語による集客、内覧、契約、支払い代行をアットハースに委託することで、入居者の幅が拡大。社会問題となっている「空室率」を大幅に下げることがでるとの事。
入居者の利点
「入居希望者はパスポートや在留許可証等の必要書類を揃えた上で、重要事項説明や面談などがオンラインで受けられるので、従来約1ヶ月間必要だった内覧・決済・契約までの日数が最短3日程度にまで減らせる」 との事。
すでにトライアルを通じて、大手企業勤務の外国人就労者や留学生への賃貸仲介実績を積んできているが、今回の資金調達を通じて、さらなるサービスの拡大を図っていくという。